経営の基礎を学びましょう。
損益分岐点売上高 = 固定費 / 限界利益率
今後の利益を予想する際には、売上高に対して変動費が毎月どの程度の割合でかかっているのかを知る必要があります。それを求めるために使えるのが限界利益と限界利益率です。
限界利益の計算自体は非常にシンプルです。先ほど把握した変動費と売上高を以下の式に当てはめるだけです。
限界利益 = 売上高 – 変動費 |
上記で求められるのは、固定費を含んだ利益です。簡単に言い換えるなら、「仕入れや製造などの変動費を使って、いくらの売上を立てられたか」ということ。限界利益を見ていけば、自社を取り巻く環境や企業活動が売上にどう影響したのかが見えてきます。
なお、以下はそれぞれの項目の関係性を分かりやすく示したボックス図です。
売上高
(100万円) |
変動費
(30万円) |
|
限界利益
(70万円) |
固定費
(35万円) |
|
営業利益
(35万円) |
仮に売上高が100万円で、変動費が30万円の場合、限界利益は100万円-30万円で70万円になります。その中には、固定費と営業利益が含まれることになります。
次に、限界収益率についての求め方についても見てみましょう。
限界収益率 = 限界利益 ÷ 売上高 × 100% |
限界収益率は、売上に対してどれくらいの割合の限界利益が出ているのかを知れる指標です。この割合が大きく上下している場合は、売上単価や変動費に大きなブレが起こっていると考えられるでしょう。
上記の例の場合、70万円÷100万円×100%=70%になります。
限界利益と限界収益率のふたつを使った例を見てみましょう。4月~6月の推移という想定で表にまとめます。
4月 | 5月 | 6月 | |
売上高 | 500万円 | 500万円 | 400万円 |
変動費 | 200万円 | 250万円 | 200万円 |
限界利益 | 300万円 | 250万円 | 200万円 |
限界利益率 | 60% | 50% | 50% |
それではいよいよ損益分岐点売上高について計算していきましょう。とはいえ、先述の項目が算出できていれば計算は簡単です。
損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ 限界利益率 |
前項でご紹介した4~6月の推移を例に、損益分岐点売上高を算出すると以下のようになります。
4月 | 5月 | 6月 | |
固定費 | 180万円 | ||
限界利益率 | 60% | 50% | 50% |
損益分岐点売上高 | 300万円 | 360万円 | 360万円 |
限界利益率が60%だと把握できていれば、300万円の売上を立てるのにかかる変動費が120万円であることが分かります。これと固定費を合わせれば、ちょうど300万円。利益が0の状態であり、損益分岐点売上高と同じになります。